4.2.2 垂直同期信号
FIGURE.7に垂直同期信号の基本イメージを表す波形を示します。
垂直同期期間は、積分器で積分しやすいように水平同期期間の三倍の幅を持っています。水平同期期間一つ分の時間を H で表すこともあり、1H = 63.5u となります。つまり垂直同期期間は3H分の幅を有していると言えます。
FIGURE.7 垂直同期期間 (a)
しかし、3Hの間レベルを一定にすると、その間、水平同期信号が無くなるため、同期が乱れてしまう可能性があります。そのため、垂直同期期間でも水平走査のタイミングでパルスを挿入します。
垂直同期の前期間では下向きのパルスを、垂直同期間では上向きのパルスを挿入することにより、水平操作のタイミングがわかるようになります(FIGURE.8)。
FIGURE.8 垂直同期期間 (b)
ただし、この波形ではFIGURE.9に示すように積分器の出力波形が偶数、奇数フィールドで変わってしまい、ノコギリ波の位置がずれて正しい飛越操作が出来なくなってしまいます。
FIGURE.9 垂直同期期間 (c)
そこで、偶数、奇数のどちらのフィールドでも積分波形が同じになるように、0.5Hごとにパルスを挿入し波形が安定するように工夫しています(FIGURE.10)。
FIGURE.10 最終的な垂直同期期間の波形
垂直同期期間中のパルスは切り込みパルスと呼ばれ、その前後のパルスは、等化パルスと呼ばれます。等化パルスの幅は、積分器で垂直同期部分と区別しやすいように、パルス二つで水平同期信号ひとつの面積になるよう0.5Hの幅になっています (FIGURE.10では等化パルスが潰れて見えますが、本来は0.5H分の幅を持ちます) 。
しかし、多くのブラウン管、モニタでは等化パルス、切り込みパルスがなくても問題無く表示が可能です。無くても動いちゃいます。
これらの波形を出力波形に含めるか否かは、コストと複雑性およびビデオ規格の遵守と言った観点からシステム的な面での検討が必要になります。
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