スピーカーケーブルのオススメは?ABXブラインドテスト結果から考える

オーディオオカルト,スピーカー

BELDEN スピーカーケーブル 8471-5m

このページではオーディオ用スピーカーケーブルについて、私なりにオススメできるケーブルを紹介しています。

その前に、まずは「スピーカーケーブルのブラインドテスト結果」をご紹介します。ちょっと長いですが、お忙しい方は強調部分だけでも良いので斜め読みしてみてください。

「ABXブラインドテスト」について

最初に「ABXブラインドテスト」について説明します。ABXブラインドテストは「AとBを比較するテスト」で、出題者すら答えを知らない状態で、回答者に「いま使われているのはAなのかBなのか?」を当ててもらうテストです。

ここで大事なのは「AかBかを当てる」のが目的で「どちらが良いか?」を当てることではありません。「AとBで差があるかどうか?」を調べるのがABXブラインドテストの目的です。

もうひとつ大事なことは、運が良いと勘で当たっちゃう可能性があるので何度も繰り返し正解する必要があることです。繰り返してテストを行って、しかも的中率が高くないとAとBで差があったと言うコトになりません。

目安としては10回テストして9回以上は当たらないとダメ。できれば色んな人を集め、複数回のテストの行うと信頼性が高くなります。

その他、ブラインドテストに関しては、オーディオの科学さんにある「オーディオにおける心理効果とブラインドテスト」が大変良くまとまっています。そちらも参考にしてください。

オーディオケーブルのブラインドテスト結果

で、実際にオーディオケーブルのABXブラインドテストを実施して、結果を公表してくれているのが「ABX Home Page」の『ABX Double Blind Tests: Interconnects and Wires』です。こちらからテスト結果をまとめた表を拝借してきました。

Interconnects and Speaker Wires
インターコネクトケーブルとスピーカーケーブル
Result
結果
Correct
正答率
p less than
pの低さ
Listeners
試聴者
$2.50 blister pack phono cable vs. PSACS Best
250円のブリスターパックなフォノケーブル 対 有名な高級ケーブル
Same
同じ
70 / 139 = 50% 7
$418 Type “T1" Biwire vs. 16 Gauge Zip Cord
4万円の"T1″タイプ・バイワイヤ接続 対 16ゲージの多芯線
Same
同じ
4 / 10 = 40% 1
Type “Z" Biwired Speaker Cable vs. 16 Gauge Zip Cord
“Z"タイプのバイワイヤ・スピーカーケーブル 対 16ゲージの多芯線
Same
同じ
70 / 139 = 50% 7
$990 “T2" Speaker Cable vs. 16 Gauge Zip Cord
10万円の"T2″スピーカーケーブル 対 16ゲージの多芯線
Same
同じ
16 / 32 = 50% 2

英語なので簡単に解説すると、最初のテストは250円の安価なRCAケーブルと有名な高級ケーブルを比較して当ててもらったところ、正答率は50%でした。正答率50%は偶然で当たる確率と一緒なので、「250円の安価なRCAケーブル」と「有名な高級ケーブル」の差は検出されなかったと言うことです。値段は大きく違っても、耳で聞く性能は同程度なんですね :-)

次に4万円の"T1″ケーブルをバイワイヤ接続と、廉価で一般的なケーブルを比べてるけど、これも正答率40%でケーブルの差は聞き取れなかったと言う結果になっています。

続けて「"Z"タイプのバイワイヤー接続」対「廉価で一般的なケーブル」や、「10万円(!)の"T2″ケーブル」対「廉価で一般的なケーブル」が比較されていますが、結局どれもケーブルの違いは聞き取れなかったという結果になっています。

これらの結果を一言でまとめると、高かろうが安かろうが「ケーブルによる音質の違いはない」と言えるかと思います。多少控えめに言っても「聴き分けが出来ないぐらいの、ごくわずかな違いしかない」ってことですね :-)

ブラインドテスト結果を踏まえたお勧めケーブル

以上のブラインドテストの結果を踏まえると、「スピーカーケーブルで音質に差が出るのはプラシーボ」と考えるのが一般的な解釈かと思います。この場合のプラシーボと言うのは、「高級ケーブルなんだから良い音がするはずだ」と思って聴くので、結果的に良い音に聞こえるということです。

良い音に聞こえるというのは事実なので、お金が有り余っているなら素直に高級ケーブルをお買い上げ頂くのがお勧めです。お金を掛けた分だけ良い音に聞こえるはずですので、思う存分散財してください :-)

「まってまって。私はそんなに裕福じゃないんだ。適切な価格で実用十分な性能を持っているスピーカーケーブルが知りたいんだ」というそこのあなた!もちろんあなた向けのお勧めケーブルもありますよ。

上記ブラインドテストで「廉価で一般的なケーブル」として使われているのは、ゲージサイズ16(AWG16)のケーブルです。だからヨドバシカメラやビックカメラに行って「ゲージサイズ16以上で、一番安いスピーカーケーブル下さい」と言えば、結果的に10万円のケーブルと同等の性能を持つケーブルを手に入れたことになります。これはお勧めできます :-)

もっと具体的なオススメのスピーカーケーブル

もう少し具体的なお勧めとして、我が家でも使っている「BELDEN 8470」と、8470に被覆が付いた「BELDEN 8471」を上げておきます。

BELDEN 8470/8471はゲージサイズ16で、バッチリ「廉価で一般的なケーブル」のクオリティ。1メートル千円もしない「安物」だけど、BELDENはプロ御用達のメジャーメーカーなので、ちょっとだけ拘りたい御仁には適切だと思います。

このケーブルはAmazonで購入可能です。送料も無料ですし、ダマされたと思って試せる値段だと思いますよ。

通販で切り売りしてくれるショップも増えてきたようです。オヤイデとコイズミ無線の商品リンクを張っておきますね。

いいや!私はスピーカーケーブルを聞き分けられる!

上記を読んでも「そんなことはない!私はケーブルの違いを聞き分けられる!」と頑なに主張するなら、『85万円のケーブルは本当に音がいい? 100万ドル賭けた果し合い』[Gizmodo Japan]をお読みいただき、ランディさんに挑戦状を叩きつけてください。

公正な試験環境でスピーカーケーブルの違いを聞き分けられたら、100万ドル(1億円)をもらえるそうです。世界中どこからの挑戦でも受け付けるそうなので、臆することなくチャレンジしてみて下さい!

ただちょっと不思議なのは、1億円ももらえる魅力的なテストなのに「いまだ世界中で誰一人チャレンジしていない」こと。はてさて、世のオーディオマニアの皆さんはどこに行っちゃったんでしょうね?

高級ケーブルでもハンガーでも一緒?

おまけとして「モンスターケーブルvs. 針金ハンガー対決」[Gizmodo Japan]のリンクも貼っておきます。

リンク先によると「高級ケーブル」と「ハンガーをバラして作った劣悪ケーブル」を比べたけど、違いが分からなかったらしいですよ。ここまでやるのはどうかと思うけど、結局それぐらいの違いしかないってコトなのかもね。