弱小プロブロガーの朝は早い
弱小プロブロガーの朝は早い。彼の1日はRSSフィードの消化から始まる。
「フィード消化は道具選びが大事。私はずっとlivedoor Readerを使っています。」
そう語りながらも指と目は動き続ける。
「だいたい1日に4,000記事ぐらい読んでますね。そのうち、出勤前の30分で3,000件は読みます。」
出勤とは?プロブロガーにも出勤がある?
「うちは老舗とは言え弱小ブログだからね。アフィリエイト1本じゃ食っていけない。だから朝のブログ執筆が終わったら副業に出てますよ。」
話しを聞いている間にフィード消化が終わったようだ。すぐさま執筆作業に移る。
「いま読んだフィードのニュースを使って、ちゃちゃっと記事を書いちゃう。日によって波はあるけど、そうだな、5分で3記事は書くかな。」
一般的なブロガーは、日に一本の記事を書き上げることも難しい。それなのにプロは朝の5分で3記事だ。
「一般のブロガーさんと同じレベルでやってちゃね。プロの名折れでしょ?内容も大事だけど、まずは数を書くこと。これが基本かな。」
そう語る言葉には重みが感じられる。
「おっとすいません。そろそろ時間だ、行かなくちゃ。」
時間はまだ6時半。朝の執筆作業を終えたプロブロガーは、副業のサラリーマン活動に出かけるようだ。
「電車の移動中にTwitterとFacebook、それにtumblerの未読処理をしてます。移動時間も無駄にはできません。」
そう語りながら、右手にiPhone、左手にはAndroidを持ち次々と未読を消化していく。
「スマホ1台だとね、未読の消化が間に合わない。そこで編み出したのがiPhoneとAndroidの同時2台使い。捗るよ。」
薬指と親指でスマホを支え、中指で器用に画面をタッチする。日頃の鍛錬が生み出したプロ独自の技だ。
「この持ち方はシロウトさんはマネしない方が良いね。昔は自分も指がつりましたよw」
1時間の通勤時間を有効に活用し、無事に未読の消化が終わったようだ。
「すいません、この先は取材NGでお願いします。ほら、会社にはブロガーってこと、ナイショにしてるからさ。」
このあと終業まではサラリーマン活動ですか?
「バカ言っちゃいけない。プロのブロガーは仕事してるヒマなんてない。サラリーマン活動中もトイレや喫煙所でフィードを読み続けますよ。」
なるほど。それでは副業ガンバってください。
インタビューを終えて
手を振る彼の姿がオフィスビルに消える頃、朝のうちにセットされた予約投稿が公開され始めた。本業のブロガー活動がバレないよう、副業時間中に記事が公開されるように工夫しているという。プロはどこまでも抜かりない。
非公式な情報だが、彼のような「兼業プロブロガー」は国内に3万人はいると言う。かれら弱小プロブロガーがブロガー活動を公言できる日は来るのだろうか?
プロブロガーの未来は、まだ暗い。
(本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。)
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